(引用:BiSH、5月に横浜アリーナでワンマンライブ『BiSH“TO THE END”』開催 - 音楽ニュース : CINRA.NET)
BiSHが売れた。先日Mステに出演し、来年5月の横アリでの単独公演を発表。2017年はBiSHの年だったと言えるでしょう。
アーティストが売れる要素には、コンセプト・楽曲・プロモーション・メンバーなどと色々とありますが、プロモーションに限って言えば、BiSHはインターネットをうまく活用し知名度を広げていったと言えるでしょう。
昔のCDのプロモーション手法
そもそも、昔のPRは1980,1990年代CDを売る際のプロモーション活動というのは、「テレビに出演させる」ことでした。
とてもシンプルで、番組に出演させることでチャートにランクインしCDが売れる。
かつては「ザ・ベストテン」「夜のヒットスタジオ」、「夜もヒッパレ」など、高い視聴率を叩き出すお化け音楽番組が存在しました。チャートアクションに乗っ取り、チャート上で売れているアーティストを出演させる番組です。
つまり、テレビに出演させる⇨チャートに載る⇨CDが売れる⇨またテレビに出演させる・・、この循環が理想的でした。
そのため、CDを売りたい芸能事務所・レコード会社は事務所が推していきたいアーティストを積極的に出演させるように交渉し、出演枠を取りに行く、いわば「椅子取り」の勝負です。
うまく関係を築けたところはテレビ局と蜜月の関係になっていき、次々と新しいアーティストを出演させていきました。
インターネットの革命
ただ、2005年以降はその手法だけでは通用しなくなってしまった。全てが「インターネット」によって。
「インターネット」によって、音楽はiTunesで聞けるようになり、MVはYoutubeの動画でいつでも見られる状態に。かつてはテレビしかなかった音楽への接点ができてしまったのです。
その結果、テレビが見られなくなり、テレビ出演が直接的にはチャートへのランクインに繋がらなくなってしまった。2010年代に入ってからは音楽番組はどんどん終わっていき今ではMステぐらいしか残っていません。
音楽番組が減りすぎた結果、「椅子取りゲーム」で取るべき椅子が少なくなり、競争が激化しました。だからこそ、インターネット上で話題を作りファンを獲得し名を上げてから、テレビの出演を待たなければいけない時代になったのだと思います。
テレビと芸能プロ、レコード会社で完結する「椅子取り」ゲームとは違って、インターネットでのPRはユーザーを巻き込まないといけないため複雑です。インターネットをうまく使って知名度を獲得したBiSHと岡崎体育のやり方を紹介します。
話題性+資本力=BiSH
冒頭に名前を挙げたBiSH。今年一番売れたアイドルといっても過言ではないグループ。
プロデューサーの渡辺淳之介さんはBiS一期の時から、話題作りに長けていた人です。全裸MV、ハ○撮りMV、IDOL騒動、24時間耐久ライブなど、武道館から出演を断られちゃうほど無茶苦茶をしていた。
BiSで築いた話題作りのスキルを、BiSHはマイルドな形で昇華しました。
ライブが写真撮影OKなのはもちろん、TIFでBiSH-星が瞬く夜に-を2日間2ステージで9回歌唱や、wackオーディション、道頓堀でのゲリラ船上ライブ、iTunesで300円の先行販売など。
ユーザーを巻き込む形で話題作りをしていった結果、SNSで広がりWEB媒体にも取り上げられ波及していくというプロモーション手法です。船上ライブはセックス・ピストルズを彷彿とさせる、音楽ファンならたまらない展開ですからね。
BiSHの何がすごいって、きちんと今までのテレビに出演させる手法も行えることです。
新アルバム「THE GUERRiLLA BiSH」の発売に合わせて、「Mステ」「スッキリ」「めざまし」等にも出演させ知名度を広げる。BiSHの人気が上がって来たのはもちろん、avexがバックについているからできることでしょう。
プールイとジュンジュンが作った土台の上に、avexの資本力とアイナの歌声が加わった。それが今のBiSHです。
MVありきの岡崎体育
(引用:岡崎体育「BASIN TECHNO」特集 (3/4) - 音楽ナタリー 特集・インタビュー)
もう一人が岡崎体育。まさにインターネット時代のシンガーソングライターですね。
一番有名な曲『MUSIC VIDEO』や『FRIEND』などを見て分かる通り、彼の音楽はミュージックビデオありきです。映像があることで、面白さが倍増するようになっています。
そのため、スタジオで楽曲を披露するだけの音楽番組には不向きで、テレビだけで売れることはある意味捨てています。
それよりも『MUSIC VIDEO』で共感、『感情のピクセル』でツッコミどころを作ることにより、インターネット上で話題を形成することに成功しています。
彼自身もツイッターの使い方がうまく、岡崎体育がいいね押すためだけのアカウントを作ったり、冷蔵庫に貼ったメモ書きを英語風に読むというツイートで20万以上RTされていたり。
冷蔵庫に貼ってあったメモ書きを英語風に読んでみた pic.twitter.com/QiGhyFHF51
— 岡崎体育 (@okazaki_taiiku) 2016年1月7日
このように音楽のPRはインターネットありきになっており、 結果的にそれはCDの売上にも繋がるようになっています。岡崎体育が今年6月に販売した『XXL』は週間オリコンチャート2位、BiSHは11/29のデイリーチャートで5位まで来ています。
テレビは死んだのか
かといって、テレビは死んだわけではないです。
テレビの影響力は凄まじく、今でも何百万人がみる世界です。アイナのフォロワーがMステ出演で一気に数千人増えているし。
ただ、テレビが供給できるアーティストの出演数は前に比べて少なくなったので、インターネットで人気を確実につけなくてはならないようになりました。本当に力がある人が世間に発見される時代。これからが楽しみですね。